ヨルゴス・ランティモス監督、エマ・ストーン、マーク・ラファロ、ウィレム・デフォー、ラミー・ユセフ出演の哀れなるものたち
ララランドで何回も観てきたエマ・ストーンと、ハルク(というかブルース・バナー)役のマーク・ラファロが出る時点で観たい!というのと異様な雰囲気のテレビコマーシャルにも惹かれ、映画館で何とか観たかったのですがタイミングが合わず、、
ディズニープラスで早速配信が始まったのでそちらで鑑賞しました。
ちなみに、ヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンのダッグは、"女王陛下のお気に入り"でも組んでいましたが、私は作品の雰囲気等もあり調べるまで気付いていませんでした。。
ストーリーは、自殺した妊婦 ベラ・バクスター(エマ・ストーン)の死体を見つけた外科医 ゴドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)が手術を行い、死んだ母親の身体に胎児の脳を移植、その成長を観察する過程の物語。
設定だけでもかなり狂気を感じますが、ゴドウィン・バクスター邸には彼が作り出したのがキメラのような動物(ニワトリの身体にブタの頭 などなど)が居たり、馬の首から先が車両にくっつけられた馬車風の自動車が登場したりと、狂気とファンシーさが入り混じった不思議な雰囲気のまま前半は話が進んでいきます。
ただ、映画館のスクリーンで観ていたらもっと違ったかもしれませんが、正直前半は退屈な展開がこのまま続くのか?と思い観ていました。
内容が深みを増していくのは、ベラ・バクスターがダンカン・ヴェダバーン(マーク・ラファロ)と駆け落ちの旅に出たところから。身体と脳のアンマッチからくるものなのか、知識への探究心が高いベラは旅の中で今まで知らなかったものを見聞き・体験し、知識を深めるとともに自らの思想をアップデートしていきます。
映画ではベラが自らへ取り入れていくものの中に、男尊女卑の文化(特に性的なものについての)、格差の問題など実際の社会問題が表現されています。直接的な表現はされていませんでしたが、周囲の男性がベラに魅力を感じ恋していく様に数年前からよく耳にするマンスプレイニングの問題も垣間見えました。
ただ、女性自身が知識を身につけ男性からの差別や軽視を乗り越えながら突き進んでいく様は見ていて気持ちが良く、冒頭の異様な雰囲気の世界から晴れ晴れとした気持ちへと変わっていきます。
両親を失った(と聞かされていた)哀れなベラのお話から、彼女を所有分として扱った結果自らより深く・広い知識を持ったベラに翻弄される哀れな男たちのお話しへと転換していく。
鑑賞前・また冒頭を見ていた時の想像とは全く違った前向きな作品でした。
2024/5/20時点だとサブスクとして登録されているのはディズニープラスだけのようですが順次増えていくかと。
ParimeVideoではレンタルも開始されています⇨https://amzn.to/4555zDy
ちなみに、R18に設定されている通り性描写はかなりガッツリあるので苦手な方はご注意下さい。